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手間が実感を生む|利便性の功罪

更新日:2021年2月28日

こんにちは。林です。


シンク・アバウト・ゴールズが法人登記されて早や1ヶ月。

面倒くさい手続きから解放されて、いよいよ事業活動に集中…といきたいところですが、そうはなっていません。


実は、会社が誕生した後にも、まだまだクリアしなければならない行政手続きがあるのです。公証役場と法務局だけでもお腹いっぱいだった僕たちに訪れた、次なる半歩とは。


1.国税局への届け出

個人でも法人でも等しく課される義務。そう、納税です。めでたく法人設立した暁には、まず義務を果たすべく、国税局に届け出をしなければなりません。


えっ!税金なんて払いたくないのに、わざわざこちらから届けなければならないの?と思われる方、良い着眼点です。


義務は権利の裏返しです。納税は義務であると同時に権利でもあります。国に税金を「納める」行為を、国に税金を「支払う」と解釈してみて下さい。支払っているからこそ、国や行政に国民への対価としての奉仕を要請することができるのです。


英語では税は pay、すなわち「支払うもの」と表現されます。日本は「納めるもの」と表現されるので、年貢のような価値観ですよね。これが国民主権の自覚の希薄化に繋がっているような気がします。


ちょっと話は逸れましたが、要は「法人設立したから、税金を支払わせてもらいますよ」という意思表示をするわけです。


なぜ法人登記の際に一緒にしなかったかと言うと、国税局への届け出には法人番号が必要になるから。法人登記時にはまだ番号が発行されていないため、物理的に同日には不可能。じゃあ法人番号発行時に自動的に税金の届け出も発行してよと言いたくなりますが、法人登記は法務局、税金は国税局です。


日本伝統のお家芸、縦割りです。以降、この縦割りの洗礼を存分に味わうことになります。


2.府税事務所への届け出

国税局に行ったばかりですが、なんと、また納税の届け出です。税金には国税の他に、地方税があります。大阪府が本社のシンク・アバウト・ゴールズは府税事務所にも法人設立の届け出をしなければなりません。


法務局と国税局は、国の行政機関が縦に割れていました。しかし、今度は「国じゃないから、府に届け出してね」という、階層の違いによるもの。いわば縦割りならぬ横割り。


では、国税局への届け出と何か違う記載をしたかと言えば、全く同じ内容です。強いて言えば、微妙に書式が違うぐらい。「それならいっそ同じ書式に統一してくれた方が楽なのに…」と誰もが思うでしょう。そこをグッと堪えてポチポチとエクセルシートに会社情報を入力するのも、立派な半歩。半歩のはずです…。


3.市役所への届け出

国、都道府県と来れば次は…そう、市です。もはや詳細は割愛しますが、要するに、先ほどまでの法人設立届け出とこれまた全く同じ内容の書類を添えて、大阪市に「会社を作りましてん」と報告に行かなくてはならないのです。


ちなみに、僕は勇んで大阪市役所に乗り込みましたが、案内の人から「提出先は市税事務所ですねん」と諫められました。半歩が強すぎて、場所を間違えてしまったようです。市役所は淀屋橋、市税事務所は堺筋本町。大阪の方はご理解いただけると思いますが、近いのに!絶妙に交通アクセスが悪い!!


いや、きっちり案内を見ていなかった僕が悪いので文句は言えません。自分への戒めとばかりに、とぼとぼと歩いて向かいました。


手間は人生に物語を与えてくれる

…とまあ、振り返ると本当に手間ばかり。違う書式なので、同じ内容を何度も入力しなければならないし、定款のコピーや登記謄本を取ったり、準備もなかなか大変です。


こんな時、つい「エストニアでは Government as a Service を標榜して、全ての行政処理をクラウドで一元管理しているのに日本は…」「コロナ禍なのに窓口はなんたら」「脱ハンコがどうたら」と、文句も言いたくなります。


ただ、手続きを全て終えた今、悪いことばかりでもなかったかなと思います。


会社の概要を書いて、必要資料を揃えて、捺印して、自分の足で届け出に行って、そんな手間ゆえに「会社を作るってこういうことなんだ」という実感が強まったのです。これらが全てクラウドやブロックチェーンによる信用で処理されたとすれば、クリック一発で済む効率と引き換えに、実感が薄れてしまうかも知れません。


ある種のセレモニーのようなもので、人間の実感には客観的事実は大して作用せず、身体による主観的情緒で決まるのだと改めて思い知らされます。


音楽でも、昔はレコードショップで財布と睨めっこしながらCDを選んで、珠玉の一枚を買っていたものです。それに比べると、現在のストリーミングサービスは無限の在庫から好きなだけ音楽が聴ける利便性と裏腹に、「珠玉の一枚」の感動は久しく得られていません。きっと、音源の素晴らしさ以上に、限られた時間やお金を費やして手間をかけたプロセスが名盤たらしめていたのだと思います。


テクノロジーの進化で得られる利便性にも功罪があります。手間は、時に人生に物語を与えてくれる、そんなことに気付かされた半歩でした。

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