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  • 執筆者の写真TAG Think About Goals.

部屋干しには、暖房か?冷房か?

こんにちは。TAGの林です。

梅雨に入り、ジメジメとすっきりしない季節になりました。


この季節に困ることいえば、洗濯物。

晴れの日を待っていては溜まっていく一方ですので、仕方なく部屋干しの出番です。


この部屋干しを巡り、周囲でこんな論争がありました。


効率よく衣服を乾かすには、暖房か、それとも冷房か。


もしかすると、皆さんのご家庭でも意見の分かれるところかも知れません。

ご安心ください。このブログで見事に決着を付けてみせましょう!



「洗濯物が乾く」とは


まず、そもそも「洗濯物が乾く」という現象を探っていきます。


「洗濯物が乾く」とは、衣服に付いている水分が衣服の外へ移動するということ。


僕たちを包む空気は、水分を気体として含む性質があります。

この時、水分は水蒸気と呼ばれます。


ただし、空気には含むことのできる水蒸気量に限界があります。

空気中に含むことのできる限界量に対し、現在の水蒸気量の尺度が湿度です。

「湿度が高い」とは、空気中の水蒸気量が多く限界に近いことを意味します。

(専門的には相対湿度、また正確には水蒸気圧の比ですが、ここでは量と表現します)


もうひとつ、空気と水蒸気は面白い関係があります。

空気の温度が高いほど、含むことのできる水蒸気の限界量が多くなるのです。


同じ湿度50%でも夏場と冬場とでは、限界量も、含まれる水蒸気量も異なります。

気温の高い夏場の湿度50%の方が、より多くの水蒸気量を含んでいます。



部屋の温度が高ければ、水分が空気に移動しやすくなる


本題に戻ります。

もしかすると、ここまで読んだ方は察しが付いているかも知れません。


  • 「洗濯物が乾く」とは水分が衣服から外へ移動すること

  • 空気の温度が高いほど、含むことのできる水蒸気の量が多くなる


…とすれば!

なるほど、洗濯物の水分を水蒸気として空気に移動させれば良い。

さらに、空気の温度が高いほど多くの水蒸気を含めるのだから、部屋を暖かくすれば良い。


ここまで分かれば、もう言うまでもありませんね。


部屋を暖かくするには、暖房です。

そういえば、乾燥機はヒーターなどで槽内を暖めています。浴室乾燥機も同じですね。



残念、正解は冷房です


ここまで読んでいただいてありがとうございます。

あともう少しだけお付き合いください。

なぜなら、あなたは今の時点で不正解を選んでしまっているからです。


正解を発表します。


部屋干しに有効なのは、暖房ではなく、冷房です。


混乱したでしょうか。

現に、乾燥機や浴室乾燥機は部屋を暖めているじゃないかとお怒りでしょうか。


初めの問いの設定に戻りましょう。


効率よく衣服を乾かすには、暖房か、それとも冷房か。

ここで重要なのは、シンプルに暖房と冷房の機能だけを比較するということです。


繰り返しますが、空気中の温度が高ければ、より多くの水蒸気を含むことができます。

逆を考えてみて下さい。空気中の温度が低くなれば、含んでいた水蒸気はどうなるのか。


液体の、水に戻ります。


冷房は室内の空気をエアコンの中に取り込み、その中で冷やしています。

この時、空気の温度が下がって、含むことのできる水蒸気量が減ります。

行き場を失った水蒸気は、エアコンの中で水に戻ってしまいます。

当然、そのままでは室内が水浸しになってしまうので、水はホースで室外に排出されます。


夏場、エアコンの室外機から水が漏れているのを見たことがあるでしょう。

あれは、室内の水蒸気が水に戻って外に捨てられているのです。


つまり、冷房は室内の水蒸気を外に追い出す役割を果たしています。

冷房であれば、部屋干しの衣服の水分は水蒸気として空気に移動し、エアコン内で再び水に戻り、室外に排出されます。


一方、暖房は衣服の水分が水蒸気として空気に移動して終わりです。

空気中の水蒸気量が限界に達すれば「洗濯物が乾く」現象は打ち止めになります。



問いの設定を見つめること


僕たちは物事を考える時、どうしても早く答えたくなり、手持ちの一般論を集めて「正解」を作り出してしまいます。

今回であれば、「水分の移動」「温度が高い方が水蒸気を多く含む」「乾燥機」などがそれに当たります。


世の中の間違いは、往々にして誤った問いに正しい答えを出していたりします。


答えに飛び付く前に、設定された問いを慎重に見つめることが肝心です。

暖房と冷房の機能をリストアップして、客観的に比較すると、自然と答えが見てきます。

正解が迫られた時こそ、問い自体を見つめることが肝要です。


とはいえ、それは口で言うほど簡単ではありません。

いま自分たちが対峙している課題は正しい問いなのか。

いまいち自信が持てなくなった時にオススメなのが、外部の視点を入れること。

シンク・アバウト・ゴールズは、外部の視点から「問いの設定」を見つめるお手伝いをしています。


ジメジメとした季節、この夏の部屋干しは冷房で乗り切っていきましょう!


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